2025年03月21日 12:47

東京理科大学、物質・材料研究機構、高輝度光科学研究センター、兵庫県立大学の共同研究グループは、放射光計測と高品質薄膜技術で磁性材料の精密評価を実現。イリジウム添加による鉄-コバルト合金の磁気特性の増強メカニズムを解明した。

磁性材料はモーターや発電機をはじめとしたさまざまな機器に使用されており、日常生活に欠かせない材料。これまでの機械学習を活用した材料探索により、FeCo合金にIrを添加すると優れた磁気特性を示すことが見出されていた。しかし、その特性の起源については未だ明らかになっておらず、根本的なメカニズムの解明が強く求められていた。

そこで本研究グループは、Fe-Co-Ir合金に焦点を当て、物質・材料研究機構の技術により、組成傾斜を持つ高品質な単結晶薄膜を作製することで、多様な組成条件下での磁気特性を体系的に評価。XMCD測定により、Ir添加がFeやCoの軌道磁気モーメントを増強することで、スピン軌道相互作用を強化することを明らかに。また第一原理計算により、Ir添加が電子の局在化を促進し、5d重元素と3d遷移金属が強く相互作用することで磁気モーメントが増強されることを明らかにした。

本研究成果のさらなる発展により、高効率モーターや磁気センサーなど、高性能なデバイス開発の設計指針を提供し、磁性材料分野の進展に大きく貢献することが期待される。本研究成果は、3月12日に国際学術誌「Physical Review Materials」にオンライン掲載された。