2025年02月12日 12:53

東京理科大学の研究グループは、アジド基、アルキニル基、フッ化スルホニル基という3種類の置換基を有するプラットフォーム分子を創製。この分子を連続したクリック反応に利用することで、部品となる分子を3工程で集積できる手法を開発した。
クリック反応の代名詞であるアジド−アルキン環化付加により、トリアゾール類を生成する手法は、医学や創薬分野で応用されている。この反応は、他の置換基が存在しても悪影響を受けずに進行するため、信頼性の高い方法として広く活用されている。一方で、アジド基とアルキニル基を併せ持つ分子において、選択的なクリック反応を実現することは非常に困難だった。
これに対して、本研究グループは、アジド基とアルキニル基に加え、フッ化スルホニル基を有する新たな3分岐型プラットフォーム分子を設計。それぞれのクリック反応が高選択的に進行するかどうかを評価した。
本研究では、分子内でアジド−アルキン間の副反応が起こらないよう、置換基の鎖長を調整したプラットフォーム分子を合成。このプラットフォーム分子を用いることで、各種クリック反応が容易に進行することが明らかに。これにより、部品となる分子をプラットフォーム分子に集積できることが確認された。また、一連の反応をワンポットで行う手法を確立したことで、本合成法が効率的かつ実用的であることも実証された。本研究成果は、1月8日に国際学術誌「Chemical Communications」にオンライン掲載された。