2024年10月10日 15:35

DICはユニチカとの共同開発にて、高周波領域で伝送損失を低く抑える「特殊PPS(ポリフェニレンサルファイド)フィルム」を開発した。本開発品は、ミリ波などの次世代通信規格に対応したプリント配線板や、ミリ波レーダーなどの関連部材向けの低誘電材料。すでに、一部の電子材料メーカーにて評価を受けており、製品化に向けた作り込みを進めている。

スマートフォンや小型電子機器などに使用される高周波対応のフレキシブルプリント配線板には、液晶ポリマー(LCP)と銅箔を接着したものが使用されている。LCPは銅箔との接着界面が平滑でないため、伝送損失が高くなる。次世代通信機器では、高周波領域のミリ波(30~300GHz)を使用するため、伝送損失を低く抑える(低誘電)素材が必要。

このたび、DIC独自のPPS重合・コンパウンド技術と、ユニチカが保有するフィルム化技術を融合することで、全く新しい「特殊PPSフィルム」が生まれた。本開発品は、PPS樹脂に由来する低吸水性・難燃性・耐薬品性を維持しながらも、高周波基板に要求される低誘電特性・寸法安定性・耐リフロー性や厚みの均一性などの優れた性質を併せ持つ。

特に、LCPなどの既存フィルムでは改善が難しかった高温環境下や、幅広い周波数領域(10~100GHz)でも安定した誘電特性を示すため、自動車用途やスマートフォンなどの様々な用途展開が期待される。詳しくはこちら