2024年08月06日 16:24

レゾナックは、「ニューラルネットワークポテンシャル(NNP)技術」を、CMPスラリーによる半導体回路の研磨メカニズムのシミュレーションに初導入した。NNP技術は、AIを融合した新しいシミュレーション技術。これまで難しかった化学反応のシミュレーションを、第一原理計算と同程度の精度を維持しながら、10万倍以上の速度で実施できる。

昨今、半導体分野では、技術革新のスピードが加速しており、迅速に新材料を提供することが求められている。シミュレーションにより見当をつけて実験することで、効率的に研究開発し、新材料の創出を加速する取り組みが行われているが、半導体製造プロセスの場合は、無機物、金属、有機物など異なる性質を持つ材料との界面における相互作用を計算する必要がある。

こういった場合、第一原理計算を使うのが一般的だが、同計算手法は、精度の高い計算結果を出せる一方、計算に多くの時間と計算能力が必要。そのため複雑な化学反応や、圧力など周囲の環境を考慮したメカニズムのシミュレーションは困難となる。

中でも、半導体製造に重要なCMPスラリーによる半導体基板の研磨工程では、添加剤や研磨剤など多くの分子・原子が存在する。また基板の複雑な形状を細かくコントロールする必要があり、時間的にも空間的にも大規模なシミュレーションが切望されていた。同社は本技術により複雑な半導体製造プロセスで起きている材料の挙動を解明し、迅速な新材料創出に繋げる。