2024年03月08日 16:34

産業技術総合研究所(産総研)、東北大、筑波大、Adansonsらの研究チームは、極薄ハプティックMEMSによるハプティックデバイスを活用した「双方向リモート触覚伝達システム」を開発した。
同システムは、触覚デバイスと触覚信号編集技術を組み合わせることで、幅広い周波数帯域の触覚信号を体験できる。そのため、指先で触れる操作や握手などの触覚情報を手首で計測し、相手側に伝えることができる点が特徴。エンターテインメント領域でのよりリアルな振動配信の創出、遠隔地での振動体験の共有などの使用例を想定している。
現在、「触覚技術」はエンターテインメント領域でも盛んに利用されている。しかし、スマートフォンや家庭用ゲーム機などに搭載されている従来のLRA型振動発生素子では、利用できる振動帯域が限られる。「体感振動計測」においても、既存のソフトウエア技術では運動によるノイズや身体に由来する心臓の鼓動音などの振動も含まれ、振動信号が不明瞭になってしまうという課題があった。
本研究では、産総研の「極薄MEMS素子」によるハプティックデバイスと、東北大の「信号強調・変換技術(ISM)」を活用。さらに、筑波大が開発した「非言語的行動・反応のデフォルメ生成技術」、Adansonsが開発した振動データの特徴抽出を行う「参照系AI」の4要素を組み合わせた。それによって「ヒトが感じることのできる全ての周波数帯域の振動を表現可能」で「伝えたい振動を強調できる」触覚共有システムを開発した。