2023年10月10日 15:46

シンク・ネイチャーは、地球の陸上生態系を形作る樹木の種類の豊かさを可視化した論文を、American Association for the Advancement of Science刊行の「Science Advances」に発表した。

これまでは、植物調査の努力量が場所によって大きく異なるために、地球規模での植物多様性の分布を描くことは困難であるとされてきた。生物多様性科学者スタートアップのシンク・ネイチャー 分析チームは、牧野富太郎先生のような植物研究者が収集した標本情報などを地球規模で統合して、維管束植物の分布データベースを構築。暗号理論に基づく真の種多様性の推定技術と、AIモデルによる空間予測によって、世界の樹木種多様性マップを完成させた。世界的な被子植物・樹木種のデータ数は、8万2974種、1395万9780ポイントに及んだ。

世界の陸域を完全網羅した樹木多様性や、データの完全性の推定結果には様々な応用方法が考えられる。例えば、本研究では、既存の自然保護区、エコロジカル・フットプリントの地図と重ね合わせることで、将来的な植物調査の優先地域を特定した。これらの地域における樹木種分布データの充実は、世界の生物多様性保全のための自然保護地域ネットワークの有効性を向上させるのに役立つ。

今後、シンク・ネイチャーは、全球を網羅した生物多様性マップを基に、科学的アプローチで保全再生アクションの実効性を強化し、ネイチャーポジティブを推進する。