2023年09月14日 20:06

高山市国府町で昔から作られてきた伝統野菜の「国府なす」が、9月1日付けで岐阜県の「飛騨・美濃伝統野菜」の認証を受けた。岐阜県内で1945年(昭和20年)以前から栽培されている特色ある野菜、果物類のうち、一定の基準を満たすと「飛騨・美濃伝統野菜」として認証される。

飛騨のなす栽培は江戸時代中期に遡り、江戸時代末期には現在の高山市国府町でも栽培されていた記録が残されている。「国府なす」は、国府地域で100年以上前から自家採種で受け継がれてきたものと言われており、飛騨の伝統食である「焼きなす」に適した品種として、昭和初期には国府地域で100軒以上が栽培していたが、他の改良種の普及により、育てにくい「国府なす」を栽培する農家がほとんどいなくなった。現在は、「国府なす研究会」の会員6名を中心に栽培されている。

国府なすのサイズは長さ約30センチ、重さ約300グラムと大ぶり。色は薄紫色、形は先端がやや尖り、ヘタの下に「天狗」(つの)が出ることもしばしばある。7~10月が収穫期で、年間約3トンを出荷。種は少なく、果肉はふわふわ。飛騨地方の伝統食である焼きなすに特に適しており、とろふわの食感が絶品だ。

認証を記念して、地域内にある「宇津江四十八滝しぶきの湯遊湯館」では、国府なすを使った特別メニューを10月中旬頃まで提供している。「国府なす焼き味噌定食」1200円、「国府なす揚げ出しそば」800円。どちらもなくなり次第終了。