2022年07月25日 09:13

岡山大学自然生命科学研究支援センターゲノム・プロテオーム解析部門、大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)膜輸送分子生物学分野の宮地孝明研究教授、加藤百合特任助教(現:九州大学薬学研究院助教)、原田結加特任助教、東京農業大学応用生物科学部岩槻健教授らの研究グループは、魚油や亜麻仁油などに含まれるオメガ3系多価不飽和脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA)が小胞型ヌクレオチドトランスポーター(VNUT)を阻害することで、神経障害性や炎症性疼痛を予防・改善できることをモデル動物で見出した。

EPAが神経障害性や炎症性疼痛に有効であることはこれまで報告されていたが、その分子メカニズムはよくわかっていなかった。本研究により、必須栄養素のEPAが慢性疼痛を予防・改善する分子メカニズムを解明できた。

今後、神経障害性や炎症性疼痛を予防・治療できる医薬品や健康食品の開発が期待される。EPAは医薬品として利用されているので、適応拡大(ドラッグリポジショニング)に向けた臨床試験への展開なども期待できる。

宮地孝明研究教授は、「トランスポーター(輸送体)創薬は技術的な難しさから、まだ萌芽的な研究領域であり、その開発例も多くありません。私の研究室では、独自の研究技術・基盤を用いて、トランスポーターを標的に生活習慣病の予防や治療に役立つ薬学・栄養学的な研究に取り組んでいます。本研究にご興味がございましたら、共同研究や大学院生を広く受け入れていますので、ぜひご連絡ください。」とコメントしている。