2022年04月13日 15:57

順天堂大学と日本IBMは、「メディカル・メタバース共同研究講座」を設置し、産学連携の取り組みを開始した。昨今、医療業界においては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、臨床現場でのオンライン診療の活用が拡がっている。一方で、仮想現実-VRや拡張現実-ARの技術進化を受けて、臨床現場でのVR/AR活用に向けた研究が進んでいる。また、3次元の仮想空間において、アバターを通じて活動する「メタバース」と呼ばれる概念も注目されている。
本共同研究講座では、メタバースを使った医療サービスの構築、臨床現場における有効性の検証に取り組み、患者や家族へのよりよい医療の提供へつなげることをめざす。内容としては短期実施テーマと中長期実施テーマに分けて、各取り組みを並行して検討していく。
短期実施テーマとして、メタバース空間で順天堂医院を模した「順天堂バーチャルホスピタル」の構築や、来院前にバーチャルで病院を体験できる環境を検討。さらに、外出が困難な入院患者が、病院の外の仮想空間で家族や友人と交流できる「コミュニティ広場」を構想している。他にもバーチャルホスピタルにて、説明が複雑になりがちな治療を疑似体験することで、治療に対する理解を深めたり、不安や心配を軽減できるかの検証を予定。
中長期実施テーマとしては、メタバース空間での活動を通じて、メンタルヘルス等の疾患の改善が図れるのかを学術的に検証する計画。今後の展開として、短期実施テーマに関する試作品を2022年中に発表していくことを目指していく。