2025年03月18日 12:00

奥村組は、XR技術を用いて、地盤改良工の施工進捗と周辺地盤への影響をリアルタイムに可視化するシステム「施工影響XRウォッチャー」を開発した。
地下構造物に近接して行う地盤改良工は、周囲の土圧への影響により、周辺地盤の隆起などの公衆災害発生リスクを伴う。そのため、施工管理者は地下構造物内において動態観測を行い、管理値以上の地盤変状が認められた場合は作業を中止する。しかし、地下構造物内から施工位置は目視できず、動態観測が必要な位置の把握が困難であるため、施工位置に加え、進捗・変位量も把握できる可視化システムを開発することとした。
本システムは、施工機械に設置したセンサおよび施工箇所周辺に設置した沈下計から、クラウド経由で施工深度・鉛直変位量の情報を取得し、それらのデータに基づきHoloLens2やiPad Proを用いて施工位置と進捗、沈下計の計測結果をリアルタイムに可視化する。
地下鉄営業線に近接して高圧噴射攪拌工法による地盤改良工を行う同社の建設現場において、本システムを試行。地下鉄トンネル躯体内から地盤改良工の施工位置と進捗をリアルタイムに把握することで、重点的に監視すべき場所を容易に特定することができた。また、躯体の沈下・隆起の状況を即座に把握できるため、現場の安全性向上と公衆災害の発生防止に有効であることを確認した。現場試行を経て、本システムの有効性が確認できたため、次年度より適用現場を拡大する予定。また、他の計測機器等との連携を進め、幅広い現場で適用することを目指して開発を進めていく。