2025年03月04日 19:06

順天堂大学の研究グループは、進行・再発胸腺癌患者を対象とした医師主導治験「カルボプラチン+パクリタキセル+アテゾリズマブ併用療法」の第II相試験を実施。初回化学療法として、標準的に用いられている、カルボプラチン+パクリタキセルに、免疫チェックポイント阻害薬であるアテゾリズマブを併用した。

その結果、客観的奏効率(ORR)が56%と、事前に規定された閾値を上回る高い効果が確認された。また、無増悪生存期間(PFS)の中央値は9.6カ月で、安全性についてもコントロール可能であると考えられた。

希少疾患・希少癌は、大規模な臨床試験の実施が困難で、他の癌腫に比べ、治療開発が進まない傾向にある。胸腺上皮性腫瘍も10万人/年あたり0.15例とまれな腫瘍で、胸腺癌はそのうち14.1%を占める希少疾患となる。一方で、切除不能進行・再発胸腺癌の予後は良好とは言えず、その治療開発には高いアンメットメディカルニーズが存在する。

本研究の結果は、進行・再発胸腺癌に対して、カルボプラチン+パクリタキセルにアテゾリズマブを併用した治療が新たな治療法となる可能性を示した。今後は、この治療法が国内や世界において保険承認され、標準的な治療となることが期待される。また、より個別化された治療を目標に、バイオマーカー研究に取り組んでいく予定。本試験の結果はLancet Oncology誌のオンライン版に3月3日付で公開された。