2025年03月04日 15:46

マグナ・ワイヤレス、大阪大学、NICTは共同で、世界初となる超低遅延通信を実現するポスト5G対応半導体チップを開発した。

5G(第5世代移動通信システム)は、高速大容量(eMBB)、超多数接続(mMTC)、超低遅延(URLLC)の三つの特徴を持ち、これらの特性は本来トレードオフの関係にある。また、産業用途に必要な数ミリ秒以下の超低遅延通信に対応した半導体チップは提供されていなかった。このため多くの用途に無線が適用できず、産業活用が期待されるローカル5Gの普及が進まない一つの要因となっていた。

このたび開発されたポスト5Gチップは、5G無線通信の処理時間(遅延時間)を従来の約10ミリ秒から0.2ミリ秒以下へと50分の1に短縮した。本チップはソフトウエア無線(SDR)にも対応しており、さまざまな応用に対して最適な無線方式を選択可能。また、ローカル5Gの通信性能を向上する新無線通信方式も併せて開発した。

これにより、超低遅延が要求される制御信号などにも無線通信の適用が可能に。具体的には、人工知能(AI)サーバーからローカル5G無線通信を介してロボットをリアルタイムに制御できるようになる。マグナ・ワイヤレスは、2025年度中にポスト5Gチップを製品化する計画。本成果により、スマート工場、物流、医療など、産業分野におけるローカル5Gの普及拡大と産業DXの加速が期待される。