2025年01月30日 12:52

龍谷大学発酵醸造食品機能性研究センターの研究グループにより、市販フナズシに含まれる微生物叢と成分が解析された。
滋賀県の伝統的な発酵食品であるフナズシは、ナレズシという乳酸発酵を利用した保存食の一つ。琵琶湖で獲った二ゴロブナを塩漬けし、米飯と共にフナを丸ごと漬け込むと、発酵中に産生する乳酸によって骨が軟らかくなり、骨まで食べることができる。一般に、夏に漬け込んだフナズシは、約4カ月かけて十分に発酵が進み、お正月には食べ頃を迎える。
滋賀県に根付くフナズシの発酵にどのような微生物叢が寄与しているか、どのような有機酸が含まれるかを明らかにすべく、龍谷大学らの研究グループは、滋賀県内27カ所の市販鮒寿司を対象に含まれている微生物叢の解析と成分分析を実施した。
乳酸菌叢の解析の結果、フナズシに含まれる乳酸菌はLactobacillus acetotoleransを主とするグループと、Lentilactobacillus buchneriを主とするグループの2つに大別できることが判明。また、どの乳酸菌が優占種となっているかによって酢酸や乳酸といった有機酸の産生量が異なることから、乳酸菌叢の違いが鮒寿司の風味に影響を及ぼす可能性が示された。
本研究成果は、日本生物高分子学会が発行するオープンアクセスジャーナル「食品・臨床栄養」(2024年 e2024巻)において公表された。詳しくはこちら。