2025年01月17日 16:04

三菱重工業は、四国電力から伊方原子力発電所向けで受注した使用済燃料輸送・貯蔵兼用乾式キャスク(MSF-32P)のうち初回出荷分2基の製造を完了し、16日に同発電所に納入した。同発電所では7月頃に乾式貯蔵施設を構内で開設・運用開始する計画で、同社はその初回貯蔵用に納入される乾式キャスク計15基を受注。残りの13基についても順次製造を進めている。

今回納入した乾式キャスクは、直径2.6m、高さ5.2m、総重量約120トンで、同発電所1、2号機の使用済燃料を32体収納できる。乾式貯蔵の中核をなす乾式キャスクは、輸送と貯蔵を兼用できる専用容器。使用済燃料を一定期間貯蔵した後、他の輸送容器に詰め替えることなく輸送することが求められるため、高度な安全性と信頼性が必要となる。

同社製の乾式キャスクは、実機スケールでの9m傾斜落下試験といった安全性実証試験に加え、アルミニウム合金やレジンといった材料の長期健全性試験結果を反映。これにより、4つの安全機能(閉じ込め機能、臨界防止機能、遮蔽機能、除熱機能)を60年間維持する設計となっている。

さらに同社では、原子力機器製造のノウハウを生かしつつ、製造・検査を高度に自動化したキャスク専用組立工場を整備。短納期かつ経済性に優れた高品質な乾式キャスクの量産供給体制を確立し、乾式貯蔵へのニーズの高まりにも即応できるよう取り組んでいる。