2024年12月17日 12:16

スペースデータの最高科学責任者である兵頭龍樹博士は、東京科学大学の玄田英典博士らと協力し、土星の環に関する定説を覆すメカニズムを解明。土星の環の誕生は、これまでの定説よりも遥かに昔である可能性を明らかにした。
宇宙空間には常に、水の氷をあまり含まない岩石質の塵が飛散している。この塵が、土星の環が誕生してから環に降り積もることで、時間とともに土星の環には水の氷以外の物質が蓄積されると考えられてきた。さらに、NASA-ESAのカッシーニ探査機による観測によって、土星の環の95%以上が水の氷で構成されていることが明らかに。
つまり、土星の環は塵で汚れておらず、土星の環が100%水の氷で生まれたとしても、環の年齢は最大で約4億年と近年の研究で報告されている。これは、家の床に埃が時間とともに積もるのと同じで、埃の量からどの程度の時間が経ったかが見積もれるという理屈。一方、太陽系の形成と進化の理論研究では、土星の環が形成されるような大イベントは、46億年前など太陽系の初期段階に起こる可能性が非常に高い。つまり、これまでの理論と観測の間には大きなギャップがあった。
本研究では、塵が土星の環に降り積もらないメカニズムを解明し、土星の環が太陽系と同等の、約46億年の歴史を持つ可能性を示唆。惑星の環の年齢に関する新たな理解を提供するものとなった。本研究は12月16日付で、科学分野の世界トップクラスの学術誌である「Nature Geoscience」に掲載されている。