2024年12月11日 15:59

千葉大学、台湾國立清華大学の研究グループから成る国際共同研究チームは、世界で初めて、固体表面上でフェロセン分子を壊すことなく固定できることを実証した。本研究におけるさらなる成果は、この1個のフェロセン分子の上にSTM探針を固定し、電気信号を印加することで、フェロセン分子を可逆的に動かすことができる、という発見。つまり、フェロセン分子が「世界最小・分子マシン」として機能することを意味する。

「分子マシン」は、その名の通り、まるでロボットのように人間の指示通りに動く1個の分子。しかし外部から電気信号を送って分子を動かすには「しかけ」が必要。そんな夢のような分子を実現する「しかけ」を作るため、研究チームは、様々な道具を入れられる便利なポケットのように、多様な原子や分子、イオンを取り込むことのできる「クラウンエーテル環状分子」に着目した。

クラウンエーテル環状分子の利点は、リングを有している点。リングは孔であり、ポケットのように原子・分子・イオンなど様々なゲスト物質を入れることができる。研究チームは、このリングに電気的に回転運動ができるフェロセン分子を組み合わせることで、分子マシン機能を発見。しかも、その分子マシンの大きさは、わずか1nmという、世界最小サイズ。

固体表面上で実現できたことから、薄膜化によるデバイス化への道が切り拓けた。今後は、人工知能や分子マシン、触媒、ガス貯蔵、量子スピン材料、磁気情報スピントロニクス材料など、多様な分野への利用が期待できる。